肝班
肝班は、以前は一元的に女性ホルモンに関係して現れるシミと考えられてきましたが(発症年齢が更年期障害とかぶる、ピルを飲んで増悪するなど)、近年は様々な要因、誘因(強くこすったり素因、お化粧やストレス等)によっても起こると考えられるように成りました。
特徴は、ほぼ左右対称に砂を撒いたような境界のハッキリしないしみで、両ほほやおでこ・鼻の下,口の周りにも現れます。
下まぶたの柔らかいところには見られない事も特徴の一つです。
以前はレーザー治療をすると濃くなる場合があり、レーザー治療はむしろ禁忌と考えられてきました。
デリケートなしみですので、治療も慎重にしなければなりません。
内服や軟膏治療で落ち着くものもあります。
また、日によって肝班が濃く見えたり、薄く見える時があったりしますが、眼の下のクマと同じく人間はカメレオンではないので色が変わる事は急にはできません。
これは、皮膚の色を決めるもう一つの要因であるヘモグロビンの減少によるもので貧血や低血圧が原因と思います。
以前から私は積極的に肝斑治療を行ってきました。
経験的に、ファンデーションで隠せないものは強めにレーザー治療やフォトIPLを行っています。
薄い肝班はケミカルピーリングで皮膚表面のくすみの分だけ治療し、ハイドロキノン等の軟膏が作用しやすくする環境を作り内服を併用します。
そこに、深達性はあるがメラニンの吸収率は弱いQスイッチヤグレーザーを弱い出力で照射し軽度の赤みが出る程度でとどめます。
これを、一週間に一度程度治療を行い徐々に肝斑を沈静化します。
これが、最近話題のレーザートーニングという方法です。作用機序は、肝斑の発生機序も含めはっきりしていませんが、肝斑に効果的な内服薬が抗プラスミン作用を持つトラネキサム酸である事から考え、このレーザー光の深達性が真皮毛細血管層にレーザー光を届け、適度のヘモグロビン吸収能が抗プラスミン作用を行っていると考えられます。
【主な治療方法】
・ケミカルピーリング
・QスイッチYAGレーザー(レーザートーニング)
・QスイッチRubyレーザー
・フォトIPL MAXG
・外用薬・内服薬投与