火傷・傷跡・手術跡と皮膚のダメージ 同じ傷跡でも、原因によって、見た目も皮膚へのダメージも違ってきます。 熱傷は火や熱湯や熱によってできた傷跡です。傷跡を瘢痕と呼びますが、程度は熱の深達度と範囲に大きく関係してきます。 外界と接している皮膚はダメージが最も深く大きくおこる可能性の高いものです。深達度は接触時間で程度が決まり、ひどければ命に関わるものです。
普通は予防的生体防御により接触時間は瞬間ですから、触れるものの温度で高ければ深くまで影響を受けると考えられますが、それ以外に、低温で余り熱いと感じない為に接触時間が長くなったり、意識障害により、あるいは衣服に付いたためにすぐに除去できない場合には深い熱傷をします。熱はどこまでも届きますから、皮膚から脂肪、筋肉、等へ達することあります。 皮膚が欠損した場合は、皮膚移植、皮弁移植も必要になります。 創傷治癒期間といって、熱傷等傷が治るまでの期間が長くかかる場合、(原因として感染や熱傷の深さ、処置の不適切さと体質や関節等安静を保てない場合、幼小児の様な筋力が弱い場合等)ケロイドのように盛り上がったり、 ひきつれたように形の変化や運動制限が起こったり、薄く弾力のない皮膚が出来、質感の違いや色の違いが残ります。 怪我などの傷跡や手術跡は、熱傷ほどの影響範囲の不確実性はなく限定的な損傷範囲と成ります。
治療の種類と効果 傷跡の何が目立つかによって、治療が異なってきます。 色素沈着や皮膚の色の違いが気になる場合は、メラニンに作用するレーザー治療(Qスイッチヤグレーザーによる微調整など)やフォトIPLで色素を取り、仕上げはケミカルピーリングやハイドロキノン軟膏を塗って細かいバランスをとります。 赤みが気になる場合は、毛細血管に作用する色素(ダイ)レーザー治療が最適です。また、早く赤みが消えるよう軟膏治療も併用し、改善します。 形の変化は、手術が適応になりますが、皮膚に余裕がなければ切り取って綺麗なところ同士を直接縫合する手術は難しくなります。 その場合、皮膚の移植や人工的に余裕をつくるエキスパンダーを入れて余裕が出来てから手術なので、大学病院へご紹介する場合もあります。 傷跡は時間とともに変化していくものなので、変化が終わってからでなければ治療ができないものもあります。 手術で治療する場合は、もちろん手術跡が残ります。この手術跡がいかにめだたなくするかが、形成外科手術であり、傷跡が変化するのを計算して手術いたします。
治療の期間と注意点 メラニンに作用するレーザー治療は治療後の変化が1~2週間で表れ、追加治療も1~2週間ごとに行っていきます。 色の調整になるので、虫に刺されて色素沈着をおこすタイプの肌の方はゆっくり調整する必要があったり、治療の回数や期間は個人差があります。 毛細血管に作用するレーザー治療は、治療後に内出血するタイプのレーザーがあります。その場合はレーザー治療の効果の判定は1ヶ月半後になりますので、追加の治療はその後になります。 赤みの治療は皮膚の上層から順番に赤みを取っていきますから、治療回数は傷跡の深さに関係してきます。 レーザー治療は、治療する度に周囲の肌の色と色素のバランスが取れてきますので、ご自分でこの程度で目立たないと判断できれば、それで終了になります。 レーザーの共通している注意点は、日焼け止めを塗って紫外線対策をすることです。レーザーの光は日に焼けた肌の中には届かず、治療の妨げになりますのでご注意ください。 手術後の場合は、術後1ヶ月半~2ヶ月ぐらいがピークで傷跡が硬くなり目立ちます。その後徐々に緩んで馴染んでいきますので、傷跡が柔らかくなるまで細い肌色テープで固定をしていただき紫外線や動きによる影響をさける事により、将来的に傷跡が細く分かりづらくなります。